【脳科学】「親の脳を癒やす」という発想とは? ─ 子どもを変える前に親が整う理由

親の脳を癒すとは?
親の脳を癒すとは?
子育て

この連載で何度も紹介している本、 友田明美先生の『親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる』

このタイトルを改めて眺めてみると、 実はとても 大胆なことを言っている と感じます。

普通、子育ての本といえば、

「子どもをどう変えるか」

をテーマにしたものが大半です。

書店の子育てコーナーに並んでいる本のタイトルを見ても、

「子どもの◯◯を伸ばす」

「子どもが変わる◯◯の方法」

というものばかり。

でも、この本は違います。

「親の脳を癒やせば」

から始まっているのです。 主語は、子どもではなく、

私はこのタイトルを見たとき、正直、はっとしました。

親の脳を癒すとは?

親の脳を癒すとは?

私たちはずっと、順番を間違えていたのかもしれない

子育てをしていると、いつの間にか、

「子どもが変われば、私も楽になるはず」

という考えに縛られていきます。

  • 朝の支度がスムーズになれば。
  • もっと聞き分けがよくなれば。
  • 夜ちゃんと寝てくれれば。
  • 宿題を自分からやってくれれば。
  • きっと、私も笑顔でいられるのに。
  • きっと、イライラせずに済むのに。

そうやって、子どもが変わることを待ちながら、日々をなんとか乗り切っている。

私自身も、長いこと、そうやって子育てをしてきました。

でも、友田先生の本は、この順番を真正面からひっくり返します。

「違います。順番は、逆です。」

と。

親が癒されるから、子どもが変わる

本書が伝えているのは、とてもシンプルなメッセージです。

親の脳が整えば、子どもへの関わり方が自然に変わる。

親の関わり方が変われば、子どもの脳が変わる。

子どもの脳が変われば、子どもの行動が変わる。

この順番で、物事は動いていく、ということです。

逆に言えば、

親の脳が疲れ切ったままでは、どんなに頑張っても子どもの行動は変わらない。

なぜなら、子どもを変えようとする親の言葉や態度が、 すでに「余裕のない脳」から出てきているからです。

疲れた親の「早くしなさい!」と、 整った親の「そろそろ時間だよ」は、 同じ意味のようでいて、子どもの脳に届く信号はまったく別物です。

同じ言葉でも、発信源の状態で、届き方が変わる。

これが、本書の核心だと私は受け取りました。

コーチの現場から

この「親の脳を癒やす」という考え方は、私のコーチングの根幹でもあります。

メンタルコーチとして活動を始めた当初、私は「子どもをどう伸ばすか」ばかり考えていました。

でも、何百件もの相談を受ける中で気づいたことがあります。

子どもを変えようとするより、親御さんの心の状態が整うと、子どもが勝手に変わり始める。

あるケースでは、家族に協力してもらい、お母さんが週に一度だけ「自分のための時間」を作るようにしたら、3ヶ月後に子どもの成績が上がったこともありました。

お母さんは何も勉強を教えていません。

ただ、余裕ができて、笑顔が増えた。

それだけです。

「親の脳を癒やす」とは、つまり「親が笑顔でいられる環境を整える」ということです。

オキシトシンというキーワード

本書の中で、友田先生はオキシトシンというホルモンの話も丁寧に紹介してくれます。

オキシトシンは、よく 「愛情ホルモン」「絆ホルモン」 と呼ばれるもので、 人と人とのあたたかい関わりの中で分泌されます。

そしてこのホルモンは、 親がリラックスしているときほど、子どもとの関わりの中で出やすくなる ことが分かっています。

つまり、

親が緊張していると、ハグしても手をつないでも、オキシトシンは十分に出ない。

逆に、

親が少しでもリラックスしていると、何気ないやり取りでも、お互いにオキシトシンが出る。

親の脳の状態は、ホルモンのレベルで、子どもとの関係性に影響している ─ これは、とても大きな気づきでした。

自己犠牲で疲れ切った親の愛情よりも、 適度に休んだ親の「ふっと笑える瞬間」のほうが、子どもの脳には栄養になる。

これが、脳科学の出している答えなのです。

順番を入れ替えるのは、勇気がいる

ここまで読んで、

「そうは言っても、自分のことを優先するなんて、なんだか罪悪感がある」

そう感じた方は多いと思います。

私もそうでした。 いまでも、うっかりすると「自分のことは後回し」の癖が出ます。

でも、この本を読んでから、私は自分に何度もこう言い聞かせるようにしています。

「私が自分を癒やすことは、子どものためでもある」

この一文を唱えるだけで、 お茶を淹れて一息つくことの罪悪感が、ふっと軽くなるのです。

親を後回しにすることは、美徳のように思えて、 実は 子育ての土台を削っている のかもしれません。

  • 親が自分を大切にできる家庭の空気。
  • 親が笑える家庭の空気。
  • 親が「ちょっと休むね」と言える家庭の空気。

そういう空気の中で育つ子どもの脳は、 すくすくと、あたたかく育っていきます。

今日から、自分に優しくすることを始めよう

子どもを変えようとする手を、ほんの少しだけ緩めて、 その分を、自分を労る時間 に回してみてください。

  • 5分のコーヒータイム。
  • ひとりで聴く音楽。
  • 湯船に長めに浸かる夜。

そんな小さなことで、大丈夫です。

親の脳は、意外とすぐに反応してくれます。

そしてその変化は、必ず子どもにも伝わっていきます。

ゆっくりと、しかし確実に。

「親を癒やすことが、子どもを育てること」

この順番を、どうか心のどこかに置いておいてください。

子育てのしんどさは、きっと少しずつ変わっていくはずです。

次回では、 「完璧を手放す」 というテーマで、もう一歩踏み込んでいきます。

完璧な親じゃなくていい。 ほどよい親で、十分いい。

その理由を、次回はゆっくりお話しします。

『幸せな秀才児』が増えることが最大の喜びです。

📚 この連載について

この記事は、小児神経科学者・友田明美先生の研究をもとにした「脳科学で読み解く子育て」連載の一部です。

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親の課題と子どもの課題を分けて考える視点について、アドラー心理学の連載で詳しく解説しています。 → それは誰の課題? ─ 「課題の分離」で親子関係が変わる

【子育て食育に関する免責事項】
本記事は、子育てメンタルコーチ・飲食店経営10年の実体験と独自の学習に基づく情報提供を目的としており、医学的・栄養学的な診断や治療の指導に代わるものではありません。お子さんの食事や健康に関する重要な判断は、必ずかかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。