目次
つい、口を出してしまう
「宿題やったの?」
「明日の準備は?」
「そんな友達とばっかり遊んでて大丈夫なの?」
一日に何回、子どもに「指示」や「確認」をしているか、 数えたことはありますか?
私は、数えたことがあります。
怖くなるくらい、多かった。
朝起きてから夜寝るまで、 子どもの行動をチェックして、先回りして、口を出す。
「ちゃんとしなさい」
「早くしなさい」
「なんでそうなるの」
全部、子どものためだと思っていました。
でも、岸見一郎先生の『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』(幻冬舎、2016年)を読んで、 ある問いを突きつけられました。
「それは、誰の課題ですか?」
「課題の分離」とは何か
アドラー心理学の中でも、子育てにおいて最もインパクトのある考え方。 それが「課題の分離」です。
考え方はシンプルです。
「その行動の結果を最終的に引き受けるのは、誰か?」
それが、課題の持ち主です。
- 宿題をやらなかったら、困るのは誰か。 → 子ども。
- テストの点が悪かったら、困るのは誰か。 → 子ども。
- 友達とケンカしたら、解決しなければいけないのは誰か。 → 子ども。
つまり、これらはすべて子どもの課題です。
親の課題ではない。
「え、でも……」
そう思いますよね。
私も最初、まったく受け入れられませんでした。

それは誰の課題? ─ 課題の分離で親子関係が変わる
「放っておけ」という意味ではない
ここが一番誤解されやすいところです。
課題の分離は、「子どもを放置しろ」という意味ではありません。
「あなたの課題だから知らない」と突き放すのとは、まったく違う。
岸見先生が伝えているのは、こういうことです。
子どもが助けを求めてきたら、いつでも手を差し伸べる。
でも、求められていないのに、土足で踏み込まない。
見守っている。でも、奪わない。
子どもが自分で考えて、自分で決めて、自分で結果を引き受ける。
その経験こそが、「生きる力」を育てるのだと。
親が子どもの課題に踏み込むと、何が起きるか
子どもの課題に親が踏み込み続けると、こうなります。
- 親が先回りして指示を出す
- 子どもは「自分で考える必要がない」と学ぶ
- 失敗を経験できないまま大きくなる
- 壁にぶつかったとき、立ち上がれない
私たち親は、子どもに失敗させたくない。
痛い思いをさせたくない。
その気持ちは、間違いなく愛情です。
でもその愛情が、子どもの「自分で立ち上がる力」を奪ってしまうことがある。
親の課題は、「土台を作る」こと
じゃあ、親は何もしなくていいのか。
そうではありません。
親には、親の課題があります。
子どもが安心して挑戦できる環境を整えること。
失敗しても「大丈夫」と言える場所でいること。
口を出すのではなく、土台を作る。
これが親の課題です。
- 「勉強しなさい」と言うのは、子どもの課題への侵入。
- 勉強したくなる環境と信頼関係を作るのは、親自身の課題への取り組み。
この区別がつくようになると、子育ては驚くほど楽になります。
まずは一つだけ、線を引いてみる
いきなり全部を分離する必要はありません。
今日、一つだけ試してみてください。
子どもに何か言いかけたとき、「これは、誰の課題だろう?」と心の中で問いかけてみる。
もし子どもの課題だったら、一度、黙ってみる。
見守ってみる。
それだけで、何かが変わり始めます。
子供の可能性は無限です。
その可能性を信じて待つことが、親にできる最大の応援です。
『幸せな秀才児』が増えることが最大の喜びです。
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📚 この連載について
この記事は、哲学者・岸見一郎先生のアドラー心理学をもとにした
「アドラー心理学で学ぶ子育て」連載の一部です。
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