発芽玄米_圧力炊きの危険と3つの毒

健康法

近年の健康志向の広まりにより、マクロビオティックの考えを食生活に取り入れる人が増えています。

さらには、ビーガン(完全菜食主義者)などの動物性の食品を一切口にしないストイックな食事法を実践する人も増えているため、当サイトで紹介している『玄米食』を始める人が増えています。

しかし、種である玄米は白米と同じやり方で食べようとすると身体に害を与えてしまうデメリットがあります。

今回は、この玄米のデメリットについて詳しくご紹介していきます。

マクロビオティックとは? 出典先:マクロビオティックWeb

参考文献:正しい玄米食、危ない玄米食 著者 鶴見隆史

間違った玄米食の健康被害

「玄米を食べると体調が悪くなる」という人の多くは、白米と同じ炊き方で玄米を食べている場合が多いのですが、これは危険な間違いであり絶対にやってはいけないことです。

この間違ったやり方で玄米を食べた時に起こる体調不良は以下のとおりです。

  1.  胃もたれ、胃炎
  2.  手足の冷え
  3.  体の節々の痛み
  4.  下痢、悪臭便
  5.  偏頭痛
  6.  肩こり、体のむくみ
  7.  食欲不振
  8.  慢性疲労
  9.  睡眠障害

この他にも、発芽させ解毒していない玄米の毒は、膵臓などの臓器にもダメージを与える事もあるので、間違った玄米の食べ方は絶対にやめて欲しいのです。

玄米の3つ毒とは?

玄米の健康被害の元となるものは、主に3つの毒です。

  • アブシシン酸  → 酵素阻害剤
  • フィチン酸   → ミネラル吸着
  • アクリルアミド → 糖化物質

正しい玄米食をおこなうためには、この3つの毒を無毒化することが必要なのです。

アブシシン酸

植物ホルモンであるアブシシン酸(ABA)は、殆どの植物に含まれています。

アブシシン酸は「種」の外皮に含まれる成分なので、全ての果物や野菜に含まれている物質であり、玄米以外にも大豆、小豆、アーモンド、ピーナッツなどの種をそのまま食べる食材については、同じ様にアブシシン酸の毒に対しての対策が必要になってくるのです。

余談ですが、2011年に膵臓がんで亡くなったApple社の創業者であるスティーブ・ジョブズさんは、ベジタリアンの食事法を取り入れていたため生のアーモンドを好んで食べていたようです。

生のアーモンドのアブシシン酸を大量に摂取することで膵臓を痛める要因となったのかもしれません。アーモンドを食べるならローストしたものを食べるようにして下さい。

玄米の毒であるアブシシン酸の毒性を甘く見てはいけないのです。

玄米の糠の部分に含まれているアブシシン酸は、中にある胚乳や白米を酸化から守る働きがあります。

植物の種は、発芽しないかぎり半永久的に形を変えず残るとされており、これは「種の保存」のためのメカニズムなのです。

アブシシン酸がそのまま人体に入ると『酵素阻害剤』として体の中にある酵素の働きをブロックしてしまい、大量の酵素を必要とする「消化」の機能が低下することで、未消化による栄養不良になったり、

「代謝」の機能低下により新陳代謝ができず細胞の再生が出来なくなり、体の中に溜まった老廃物を排出できず腎臓に負担をかけたり、溜まった毒となった老廃物などをやっつけるために、膵臓などから消化酵素などをさらに排出させるために、膵臓の負担が大きくなってしまうのです。

アブシシン酸の毒は臓器を損傷する猛毒なのです。

フィチン酸

米糠に含まれるフィチン酸はそれ自体に毒性はなく、「活性酸素」を吸着する作用のあるため、体の酸化を防ぐ物質としてがんの予防効果が認めらた物質です。

しかし、このフィチン酸の強力な吸着作用が、体の中の必須ミネラルである亜鉛、マンガン、銅、マグネシウム、鉄、カルシウムなどを便と一緒に体内に排出してしまい、ミネラル不足になる事が問題なのです。

体はミネラル不足になると、酵素不足と同じく細胞の働きが悪くなったり、代謝が悪くなったりして老化が早まったり、正常な成長ができなくなったりするのです。

先に紹介したアブシシン酸ほどではないですが、フィチン酸の健康被害も甘く見てはいけないものなのです。

アクリルアミド

アクリルアミドという物質は、玄米に元々有るものではなく、玄米に圧力を掛けて炊飯した時に発生する物質です。

このアクリルアミドは、「糖化」といわれるタンパク質と糖質が固く結合した状態になったものであり、揚げ物や焦げた食べ物に多く含まれる物質です。

この「糖化物質」のアクリルアミドが体内に入ると、血液が汚れ血管を傷つけます。

これが、糖尿病動脈硬化による脳梗塞心筋梗塞の原因となっているのです。

この恐ろしい「糖化」を起こす食品は、玄米以外にも、小麦ハムなどの加工肉フライドポテトなどの揚げたじゃがいもなどがあり、これらは玄米よりも「糖化度」が高い食品として注意が必要だとされています。

また、アクリルアミドの健康被害については世界的にも警鐘を鳴らす動きが増えてきています。

  • 2005年 世界保健機関(WHO)と国際連合食糧農業機関(FAO)の合同委員会が「アクリルアミドは健康に害を与える恐れがあり、含有量を減らすべき」と勧告
  • 2007年 オランダのマーストリヒト大学の研究結果では「アクリルアミドは、子宮内膜がんと卵巣がんの危険性を高める」と発表
  • 2008年 同大学の研究チームが「アクリルアミドの摂り過ぎは腎臓がんのリスクを高める」と発表
  • 2014年 内閣府食品安全委員会化学物質・汚染物質専門調査会が「アクリルアミドは遺伝毒性を持つ発がん物質」と認定

このように、玄米を含めた炭水化物を過度に加熱する調理法が生み出すアクリルアミドの健康被害の大きさは無視できないものになっているのです。

玄米の毒の無毒化方法

  • アブシシン酸  → 酵素阻害剤
  • フィチン酸   → ミネラル吸着
  • アクリルアミド → 糖化物質

玄米の3つの毒であるこれらの物質を無毒化する方法は意外と簡単です。

長時間水に漬ける

アブシシン酸フィチン酸については、玄米を長時間水に漬ける事でこれらの有害物質は水の中に放出されるのです。

この時のポイントは、水に漬ける時間です。

目安は、合計100以上(推奨は17時間以上)

気温が5度の場合は 20時間

気温が20度の場合 5時間

気温と気温(水温)を掛け算した合計が100以上になるようにするのです。

しかし、これは目安であり実際には5時間では足りないと感じます。

私の経験では、最低一晩(8時間)以上漬けないと、玄米の表面の糠に変化が起きないと考えています。

発芽毒という新たな問題

アブシシン酸とフィチン酸を無毒化するために水に長時間漬ける事は、同時に玄米を種から目覚めさせ「発芽」させる事になります。

この発芽した玄米を『発芽玄米』といい、玄米食の多くのメリットはこの発芽玄米によるものです。

しかし、この玄米が発芽する時の「発芽毒」も身体には有害な物質なので、排除しないといけません。

発芽毒の排除方法

発芽毒を排除する方法は、発芽毒が含まれる水を交換する事です。

玄米の毒であるアブシシン酸とフィチン酸を無毒化するために長時間水に漬ける必要がありますが、この過程で、綺麗な水に2度交換するだけで、発芽毒を排除する事が出来るのです。

圧力を掛けない

正しい発芽ができていない玄米は固くボソボソとした食感となり、玄米食が嫌われる理由になっています。

そして、この玄米は固いといった間違った認識により、柔らかくするために圧力をかけて炊飯する方法が行われて来ました。

しかし、この圧力を掛けて炊飯するやり方では、アクリルアミド「糖化」の健康被害があるので、玄米を炊飯する時には、圧力を掛けてはいけないのです。

正しい炊飯のやり方は、

  1. 長時間水に漬け発芽させる
  2. 綺麗な水で普通に炊飯する(土鍋でもOK)
  3. 炊きあがったらかき混ぜ熟成させる(これはオプションです)

たったこれだけでいいのです。

発芽玄米は完全栄養食

発芽玄米は、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など身体に必要な栄養素が全て含まれている「完全栄養食」といわれています。

この発芽玄米を食生活に取り入れるメリットは大きいので、発芽玄米食をご家庭でも試して欲しいと思います。

特に成長期の子供にとっては、発芽玄米をベースとした食育を行なうことで、肥満の解消正常な成長に繋がりますのでオススメします。

正しいやり方で玄米食のメリットを享受してくれる人が増えることを願っております。

正しい玄米食も含めた子供の食育のノウハウを本に書いていますので、必要な方は購入して頂けたら嬉しいです。

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