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「見ているだけ」でも、傷つくという事実
友田先生の研究で明らかになったことのひとつに、面前DVというテーマがあります。 面前DVとは、 子どもの目の前で、親同士が暴力的なやりとりをすること を指します。 ここで言う「暴力」は、手を上げることだけではありません。- 怒鳴り合い
- 物に当たる
- 冷たい無視
- ひどい言葉の応酬
子どもは、空気を読むプロフェッショナル
夫婦ゲンカの現場で、子どもがどうしているか。 みなさんは覚えているでしょうか。- じっと黙り込んでいる
- 部屋の隅で小さくなっている
- 何事もなかったかのように、おもちゃで遊んでいる
- 急に笑顔になって話題を変えようとする
- 親の顔色
- 声のトーン
- 家の中の温度感
怒鳴り声は、子どもにとって”地震”と同じ
大人にとって夫婦ゲンカは、言葉の応酬です。 でも子どもにとっては違います。 子どもにとって、両親の怒鳴り合いは、 自分の世界の土台が、ぐらぐらと揺れる出来事 なのです。 地震のときに、私たち大人がとっさに体を硬くしてしまうように、 子どもは怒鳴り声を浴びると 体と脳を硬直させて耐えている。 そしてそれが繰り返されれば、- 人の表情を過剰に気にする
- ちょっとした物音にビクッとする
- 自分の気持ちを言えなくなる
- 大人の機嫌を取ろうと必死になる
パパにも、読んでほしい話
この記事は、特にお父さんに読んでほしい回です。 というのも、子育ての話になると、どうしても母親に矢印が向きがちだからです。 「ちゃんと見てあげて」 「優しくしてあげて」 「怒らないで」 そう言われる相手は、たいていお母さんです。 でも、面前DVの話は違います。 これは、夫婦ふたりの問題 です。 どちらか一方だけが気をつけても、何も変わりません。 パパが怒鳴れば、子どもは傷つきます。 ママが怒鳴り返せば、やはり子どもは傷つきます。 ふたりが冷たい沈黙を続けていても、子どもはそれを感じ取っています。 だからこそ、お父さんにもこの事実を知っておいてほしいのです。 家庭の空気をつくるのは、夫婦ふたり。 その空気の温度を決めているのは、ふたりの関係性。 そしてその空気は、子どもの脳に届いているのです。コーチの現場から
子育ての相談を受けていると、最初は「子どもの問題」として話しているのに、話を深く聞いていくと「実は夫婦関係が根っこにある」というケースが非常に多いのです。 体感では、3割以上がこのパターンです。 子どもの不登校、成績の急落、急に暴言を吐くようになった。 背景を探ると、家庭の中で夫婦間の激しい口論が日常化していた、ということがあります。 「子どもは寝ているから大丈夫だと思っていました」 そうおっしゃる方もいます。 でも、子どもは起きています。 起きていなくても、家の空気を感じ取っています。 脳科学が明らかにしているように、「見せること」「聞かせること」自体が子どもの脳に影響を与えるのです。では、どうすればいいのか
夫婦ゲンカを完全にゼロにするなんて、現実的ではありません。 人間が二人で暮らしていれば、意見がぶつかることは必ずあります。 それ自体は、自然なことです。 大切なのは、ぶつかり方 と 後の戻し方 です。- 感情的になりそうなときは、子どもの前を離れる
- 怒鳴り合いではなく、言葉で話し合う
- どうしても収まらないときは、時間をおく
- 喧嘩のあとは、子どもに「大丈夫だよ」と伝える
- 仲直りする姿も、子どもに見せる
家庭の空気を、育てていこう
子育ては、子どもを育てることだけではありません。 家庭の空気そのものを育てること でもあります。 そしてその空気を整えるのは、ひとりで頑張ることではなく、 夫婦で一緒にやっていくこと です。 もし今、パートナーとの関係がギクシャクしているなら、 それは子育てにとっても大切な課題だと受け止めてみてください。 ふたりの関係が整えば、家庭の空気が変わる。 家庭の空気が変われば、子どもの脳に届く信号が変わる。 子どもの脳に届く信号が変われば、子どもの未来が変わる。 すべては、つながっているのです。 完璧な夫婦でなくていい。 ときには喧嘩もしていい。 でも、子どもの前では、できるだけ穏やかな自分でいよう ─ そう決めるだけで、家庭の空気は少しずつ変わっていきます。 『幸せな秀才児』が増えることが最大の喜びです。📚 この連載について
この記事は、小児神経科学者・友田明美先生の研究をもとにした「脳科学で読み解く子育て」連載の一部です。→ 連載の全記事一覧・概要を見る