なお、「アスペルガー症候群」という診断名は、2013年にアメリカ精神医学会が発表した診断基準DSM-5により、「自閉スペクトラム症(ASD)」に統合されました。現在、日本の医療現場でも「アスペルガー症候群」という診断名は原則として使用されていません。
ただし、「アスペルガー症候群」という言葉は今も広く認知されており、当記事ではわかりやすさを優先して引き続きこの名称を使用しています。すでに「アスペルガー症候群」と診断を受けた方の診断が無効になるわけではありませんので、ご安心ください。
目次
アスペルガー症候群とは?
アスペルガー症候群をややこしくさせている原因の一つに、主な定義が2つある事が挙げられます。①人との社会的関係を持つこと
②コミュニケーションをすること
③想像力と創造性
この3つに障害がある事①認知、言語発達の遅れがないこと
②コミュニケーションの障害がないこと
③社会性の障害とこだわりがあること
アスペルガー症候群の歴史
アスペルガー症候群は、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーが1944年に発表した「小児期の自閉的精神病質」で確立された診断名です。 当時の自閉症は、言語コミュニケーションを主な診断材料としており、先に挙げた【三つ組の障害】に問題があっても、言語コミュニケーションが取れていれば、自閉症と診断されることはなかったのです。 しかし、ハンス・アスペルガーは自閉症と診断されないケースでも、【三つ組の障害】の症状がある場合は、アスペルガー症候群として診断する事が適切だとしたのです。 この考えが、英語圏で話題になり、1981年以降世界的にアスペルガー症候群の概念が採用されるようになり現在に至っているのです。
アスペルガー症候群の症状
一般的なアスペルガー症候群の具体的な症状としては主に4つがあります。- 社会性に乏しい異様な行動
- コレクションなど、ものへの執着
- 表情と身振りによる表現の乏しさ
- ものまねをしているような不自然な言語表現
- 好きな事には熱中するが、興味の無いものには集中できない。
- 難しい言葉を使ったり、話し相手を無視した一方的な話し方をする。
- 自分の気持をうまく表現できない。
- 待つ事が出来ず、突然動き回る事がある。
- 聴覚、視覚、触覚など極端に過敏または鈍感が見られる。
アスペルガー症候群の子育て
アスペルガー症候群の症状がある子供は、障害を持たない子供よりもストレス反応が強く出るとされており、大した事無いことが気になり、眠れない、爪噛み、抜け毛などの症状が出てしまうケースも多くあります。 現代社会では、大人でも大きなストレスを感じる場面が増えているのですから、子供のストレス、ましてはアスペルガー症候群の子供のストレスケアに対しては、十分な対策を取ってあげる事が大切なのです。- 落ち着けるパーソナルスペースの確保(部屋の片隅、ぬいぐるみなどに囲まれている空間、決まった椅子など)
- パーソナルスペースへの逃避方法を決める(トイレにいくフリをする、手を上げて意思表示するなど)
- ストレスへの段階的な対処方法を決める(ストレスレベルを5段階で決め、それぞれを色別で分けたカードを作り、カードの裏に対処方法を記して行動を促す)

アスペルガー症候群の診断基準
参考文献:アスペルガー症候群 子どもたちの特性を活かす 著者 宮尾益知
1,社会性の欠陥(極端な自己中心性)※2つ以上
a 友達と相互に関わる能力に欠ける
b 友達と相互に関わろうとする意欲に欠ける
c 社会的シグナルの理解に欠ける
d 社会的・感情的に適切を欠く行動
2,興味・関心の狭さ※1つ以上
a ほかの活動を受け付けない
b 固執を繰り返す
c 固定的で無目的な傾向
3,反復的な決まりを持っている ※1つ以上
a 自分に対して、生活上で
b 他人に対して
4,言葉と言語表現の問題 ※3つ以上
a 発達の遅れ
b 表面的には誤りのない表出言語
c 形式的、もったいぶった言語表現
d 韻律の奇妙さ、独特な声の調子
e 表面的・暗示的意味の取り違えなどの理解の悪さ
5,非言語コミュニケーションの問題 ※1つ以上
a 身振りの使用が少ない
b ボディーランゲージのぎこちなさ、粗雑さ
c 表情が乏しい
d 表現が適切でない
e 視線が奇妙、よそよそしい
6,運動の不器用さ
神経発達の検査成績が低い
建造物1,孤独さ ※2つ以上
・親しい友達がいない
・人との接触を避ける
・友達づくりに関心が無い
・自分ひとりの世界を好む
2,人との関わり方の欠けた面 ※1つ以上
・自分に必要な時だけ人と接する
・人への接し方がぎこちなく不器用
・友達に対する一方的な接し方
・人の気持ちを感じ取るのが困難
・人の気持ちに無頓着
3,非言語コミュニケーションの欠けた面 ※1つ以上
・表情が乏しい
・子供の表情から感情を読み取るのが困難
・目の動きで子供に意思を伝えるのが困難
・他の人に視線を向けない
・手を使って意思を表現しない
・身振りは大げさでぎこちない
・人に対して近づき過ぎる
4,話し方の奇妙さ ※1つ以上
・抑揚のおかしさ
・口数が多すぎる
・口数が少なすぎる
・会話に一貫性が欠ける
・一種独特な言葉の用い方
・繰り返しの多い話し方
A.[1][2][3]から合計6つ以上([1]から2つ以上、[2][3]から1つ以上) [1]対人的相互反応における質的な障害で以下の少なくとも2つによって明らかになる
a 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調整する(視線が合わない、目をそらす等)
b 発達の水準に相応した仲間関係を作る事の失敗(自分から友達や趣味仲間などを作れない、一方的なコミュニケーションしか出来ない)
c 楽しみ、興味、成し遂げたものを他人と共有する、を自発的に求める事の欠如(興味の在るものを見せる、持ってくる、指差す、「見て」と好きなものに視線を向けるなどの事が出来ない)
d 対人的または情緒的相互性の欠如
[2]以下の内、少なくとも1つによって示される意思伝達の質的な障害
a 話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如(言語が無くても、身振りやモノマネ、指差しのような代わりの意思伝達の仕方により分かってもらおうとする努力をしない)
b 十分会話のある者では、他人との会話を開始し継続する能力の著明な障害(年齢相当の言葉のキャッチボールによる会話が持続しない、言われている事が分からない)
c 常同的で反復的な言動の使用、または独特な言語を使用する(エコラリア、オウム返しや造語を使う、正しく言語を使用できない)
d 発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性を持ったモノマネ遊びの欠如(なりきり遊びやお母さんごっこ等の役割分担が出来ない)
[3]行動、興味及び活動が限定され、反復적で常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる
a 強度に、または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたは幾つかの興味だけに熱中すること(周りの変化を嫌う、それに対してこだわりがある)
b 特定の、機能的でない習慣や儀式に頑なにこだわるのが明らかである(同じ道順でなければダメだったりする事)
c 常同的で反復的な衒奇的運動(手や指をパタパタさせたり、ネジ曲げる、ぴょんぴょんしたり、複雑な全身の動きをする)
d 物体の一部に持続的に熱中する(扇風機とか換気扇とかぐるぐるが好きだったり、つるつるしたものを触り続ける)
B.3歳以前に始まる、以下の領域の少なくとも1つにおける機能の遅れまたは異常 [1]対人的相互作用(他者とのコミュニケーションが出来ない) [2]対人的意思伝達に用いられる言語(言葉の遅れ) [3]対人的意思伝達に用いられる象徴的または創造的遊び(想像力の欠如)
C.この障害は、レット障害または小児期崩壊性障害では、うまく説明されない
