最近では、LGBTQ、ジェンダーレスという言葉を耳にする機会が増えていますが、一般的に使われているジェンダーとは、生物学的な性別(SEX)に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指しています。
しかし、教育・子育ての世界では、この性別の違いを単なる社会的に分類するためだけの区別として考えるだけでは不十分なのです。
最新の研究では、男女の違いによって、聞こえ方、見え方、考え方、学び方、行動の仕方に違いがある事が分かってきました。
今回は、ジェンダーの違いが、男女の聞こえ方に与える差を詳しくお伝えしていきます。
目次
右脳と左脳の違い
1980年代後半に、フランスの神経学者シャルル・エドゥアール・ブラウンセカールとイギリスの神経学者ヘンリー・チャールトン・バスティアンがそれぞれ独自に、人間の左脳が言語機能を司っている事を発表し、以降、左脳に卒中が起きると、右脳に卒中が起きたときよりも言語障害の程度が大きくなる事が常識とされてきました。
しかし、1900年代後半になってからの様々な研究により、これらの卒中による言語障害の現象には、男女によって違いが在る事が分かってきたのです。
男性の脳
- 左脳に卒中が起こった場合 → 言語性IQが約20%低下
- 右脳に卒中が起こった場合 → 言語性IQの低下は起こらない
※男性は、左脳で言語機能をコントロールしている。
女性の脳
- 左脳に卒中が起こった場合 → 言語性IQが約9%低下
- 右脳に卒中が起こった場合 → 言語性IQが約11%低下
※女性は、左脳、右脳の両方で言語機能をコントロールしている。
つまりは、男性は話すために主に左脳を使っているのに対して、女性は左右両方の脳を使って会話をしているのです。
さらには、その後の研究によりこの男女の脳の本質的な違いにより、
- 聴こえ方
- 視え方
- 学び方
に大きな違いが在ることが分かってきたのです。
音楽療法が及ぼす影響_男女の違い
1980年代末、フロリダ州立大学のジャネル・ケインは、未熟児に音楽を聴かせる事で食欲が増進され生育が速くなる事を実験によって証明したのですが、この結果が男女の聴こえ方に違いがある事を証明することになったのです。
ジャネル・ケインの研究結果では、
- 音楽療法を受けた女の赤ちゃんは、受けなかった女の子に比べ平均9.5日速く退院できた
- 音楽療法を受けた男の赤ちゃんは、受けなかった男の子と退院までの日数に違いがなかった
音楽療法は、女の赤ちゃんにしか効果が無いという結果になったのです。
その後、1990年代の研究でもこれと全く同じ結果になったことから、現代では、音楽療法は女の子には効果があるが、男の子の発育にはあまり効果が無いとされているのです。
男女で聴こえる音の周波数が違う
上記のような差を生む要因は、男女で聴こえる音の周波数に違いがある事だとされています。
人間は、音を聞く時、聴性脳幹反応と呼ばれる反応を起こしますが、女性は男性に比べて、この聴性脳幹反応が活発に行われやすい声質を持っており、
特に、一般的な会話で使用される1000〜4000ヘルツの周波数の音を聞く時に敏感に反応しているのです。
女性は、人の話がよく聴こえるのです。
それに比べ、男性は女性の約半分ほどしか聴こえていないのだそうです。
これが男女の聴こえ方の大きな違いなのです。
男性教師と女性教師の声質の違い
授業を行なう女性教師の優しく語りかけるような声の周波数は、約1000ヘルツとされていますので、このような声は、女の子には心地よく聴こえているのですが、男の子には女子の半分ほどでしか聴こえていないのです。
逆に、男性教師の力強い声の周波数は、約500ヘルツとされているので、この声は、女の子にとっては威圧感のある怒っているように聴こえているのですが、男の子は恐怖からビクッと反応して聞く耳を立てているのです。
小学生の男の子が、優しい女子教師の授業で集中できず騒いだりするのは、その声が、小さくて、BGMのようにしか聴こえていない事が原因なのです。
このような男子には、先生の目の前に座らせたり、この子の、目を視て少し低い声で話すなどのやり方が効果的なのです。
逆に、小学生の女の子は、男性教師の威圧的な声を嫌がります。男性の大きな声も嫌いですが、男性の回りくどい言い回しも聞こえづらいので耳に入らないのです。
男性教師が女の子に話す場合は、少し高めの声でゆっくり優しく語りかける方が効果的なのです。
また、ある研究では、11歳の女子は同じ年齢の男子に比べ約10倍も小さな音に気を取られるとしており、特に貧乏ゆすりや机をコツコツ叩くような繰り返しの音に不快と感じるようなので、女の子を集中させる場合にはこれらの音にも注意が必要です。
このように、男女の脳の本質的な違いにより、聴こえ方が全く違うのですが、このことを知らないで教育・子育てが行われているケースはとても多いのです。
このような自分の授業中の声色のコントロールのやり方を知らない教師が、集中できない生徒を安易にADHDなどの病気ではないかと決めつけて、生徒と親を苦しめるケースも少なくありません。
子供を守るためにも、このような男女の脳の違いを理解する大人が増える事を願っています。
『幸せな秀才児』が増えることが最大の喜びです
シェアして頂けたら嬉しいです