ADHDの症状を持つ子供は、衝動的で落ち着きがなく、授業に集中出来なかったり、不注意でぼーっとしたりしてしまいます。
学校などでも、このADHD(注意欠陥多動性障害)について様々な対応策が行われておりますが、この症状を持つ子供はストレスを受けるとパニックになるなど、学校生活への順応が難しくなり、子育てをしている親を悩ませる事が多くなります。
今回は、このADHD(注意欠陥多動性障害)についてご紹介していきます。
目次
ADHD(注意欠陥多動性障害)とは?
ADHDと称される以前は、WHOの「精神および行動の障害 第10版」の「小児期および青年期に通常発症する行動および情報の障害」に該当する多動性障害の中で「不注意」「過活動」「衝動性」の3つを主要症状とし、発症の早期性(7歳以前)、持続性(6ヶ月以上)、広汎性(複数の場面で度々観察される事)が認められる子供の脳障害として表現されていました。
その後、アメリカの「精神疾患の分類と診断の手引 第4版」(DSM−Ⅳ)でADHD(注意欠陥多動性障害)と明記するようになり現代に至ります。
ADHDの原因
ADHDの主な原因は、ドーパミン・ノルアドレナリン系の機能低下、前頭前野・線状体・小脳の機能低下だとされており、主に脳の活動や覚醒に影響を及ぼす神経の異常であるとされています。
- 前頭前野の機能障害
- ワーキングメモリーの機能不全
- 神経伝達物質ドーパミンの相対的欠乏
注意欠陥の症状
- 注意の持続困難
- 気持ちがコロコロ変わる
- ストレスに弱くパニックを起こしやすい
- 内面的思考に囚われぼーっとする
- 飽きっぽい
衝動性の症状
- 短絡的で反射的な反応
- 不注意な発言
- 急に怒りを爆発させる
- わざと危険な事をする
- 過剰な収集癖
多動性の症状
- 一ヶ所にじっとしていられない
- 走り回る
- 机の上に登る
- 貧乏ゆすりが止まらない
- おしゃべりが辞められない
などの症状が代表的なADHD(注意欠陥多動性障害)の症状だとされています。
ADHD(注意欠陥多動性障害)の対応方法
ADHDの子供には、「キレない」行動を訓練させるためにSST(社会生活訓練)を行なう事が有効だとされています。
- ほめること
- 運動訓練(感覚統合訓練)
- 待つ訓練
- 保護者カウンセリング
- 薬物療法
1の「ほめること」では、ADHDの子供は褒められたい気持ちが強いのですが、その気持を上手く表現できず、衝動的な行動などから褒められる前に怒られる事が多くなる傾向にあるので、周りの大人は、怒る事よりも多くの「ほめること」を愛情を持って行なうことが重要です。
2の「運動訓練」では、衝動的で不器用な特性をトランポリン、ブランコ、ボールプールなどを用い、身体感覚を整える感覚統合訓練を行なう事で、体を使い運動のパターン化を覚え、失敗を繰り返さない方法を訓練します。
3の「待つ訓練」では、キレやすいADHDの子供に少しづつ我慢をさせて、衝動的、暴力的な行動を抑える訓練をします。しかし、この時に焦りは禁物です。我慢の限界が来ると爆発してしまうので、そうならないように少しづつ小さな我慢を繰り返す事が重要です。
4の「保護者カウンセリング」は、世話をする親のこの病気に対する知識を深めて、子供の状態を客観的・認知的な側面から理解し対応の仕方を医師と一緒に考えていきます。
5の「薬物療法」では、18歳までの子供に対して投与が認められている【メチルフェニデート(コンサータ)】が有効だとされていますが、副作用として食欲不振、成長障害、不眠、チック、心電図異常、痙攣誘発があり、依存性も確認されているので投薬は十分な注意を持って行なう必要があります。
ADHDの子供には「ほめること」が重要であるため、親が子供の長所を前向きに見つけ出し意識的に「ほめる」事が何よりも有効だとされています。
子供は「ほめられる」ことにより、周囲の肯定的な注目を感じるようになり、不適切な行動を抑制しようとしますので、親が「ほめる」訓練をする事はとても大切なことなのです。
ADHDの診断方法
ADHDの診断基準【DSM−Ⅳ】
A(1)or(2)のどちらか
(1)以下の不注意のうち6つ以上が6ヶ月以上続いた事があり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの
不注意
a 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意する事が出来ない、または不注意な過ちをおかす。
b 課題または遊びの活動で、注意を維持する事がしばしば困難である。
c 直接話しかけれれた時に、しばしば聞いていないように見える。
d しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げる事が出来ない。
e 課題や活動を順序立てる事がしばしば困難である。
f 学業や宿題のような精神的努力の持続を要する課題に従事する事をしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行なう。
g 例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具、など課題や活動に必要なものをしばしばなくす。
h しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
i しばしば毎日の活動を忘れてしまう。
(2)以下の多動性・衝動性の症状のうち、6つ以上が少なくとも6ヶ月以上持続した事があり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない。
多動性
a しばしば手足をそわそわと動かし、または椅子の上でもじもじする。
b しばしば教室や、その他、座っている事を要求される状況で席を離れる。
c しばしば不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれない)
d しばしば静かに遊んだり、余暇活動につく事が出来ない。
e しばしば「じっとしていない」または、まるで「エンジンで動かされているように」行動する。
f しばしば喋りすぎる。
衝動性
g しばしば質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう。
h しばしば順番を待つ事が困難である。
i しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)
B 多動性・衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている。
C これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校、または仕事と家庭)存在する。
D 社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。
E その症状は、広汎性発達障害、精神分裂病、またはその他の精神病障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、解離障害、または人格障害)ではうまく説明されない。
混合型
過去6ヶ月間A1とA2の基準をともに満たしている場合。
不注意優勢型
過去6ヶ月間、基準A1を満たすが基準A2を満たさない場合。
多動性・衝動性優勢型
過去6ヶ月、基準A2を満たすが基準A1を満たさない場合。
昔からADHDの症状のような行動をする子供は沢山いたはずですが、現代ではこれを診断し病名を付ける事で子供に対する扱い方が変わってくる事に注意をしなければいけません。
診断しADHDだと診断されたとしても、それは子供の個性であると存在を認めてあげる事が子育てで最も重要なことだと思います。
特別な能力を持った子供の子育ては苦労が多く大変だと思いますが、積極的に専門家などの他人を頼る事も重要です。
『幸せな秀才児』が増えることが最大の喜びです
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