日本の教育システムは遅れています。
特に創造性や批判的思考を促すことができないという点で他の国よりも劣っているとされていますが、
この問題を解決するためには、世界の先進的な教育について知ることが必要だと私は考えます。
今回は、現代でも人気のある【世界7大教育法】についてまとめました。
目次
《世界7大教育法》
- モンテッソーリ教育(イタリア): 1907年
- シュタイナー教育(ドイツ): 1919年
- レッジョ・エミリア教育(イタリア): 1945年
- ドルトンプラン教育(アメリカ): 1919年
- サドベリー教育(アメリカ): 1968年
- フレネ教育(フランス): 1920年
- イエナプラン教育(ドイツ): 1924年
モンテッソーリ教育(イタリア)1907年発生
1907年にイタリア人医師マリア・モンテッソーリが重度の発達障害のある子どもたちを世話するなかで、子どもたちには自分自身を教育する力が備わっていることを発見し、ローマの貧民街で「子どもの家」という幼児教育施設を開いたのがモンテッソーリ教育の起源です。
モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。
その目的を達成するために、モンテッソーリは子どもを科学的に観察し、そこからえた事実に基づいて独特の体系を持つ教具を開発するなどして教育法を確立していきました。
その教育法の確かさは、現代の大脳生理学、心理学、教育学などの面からも証明されています。
モンテッソーリ教育における日常生活の分野とは、日常生活の練習のことです。
日常生活の練習の目的は、身体運動の獲得です。
子どもは大人の真似をし、体の動かし方を学びます。
モンテッソーリ教育は子どもを観察することによって見出された事実に基づく科学的な教育法であり、その基本的な考え方は「子どもには生来、自立・発達していこうとする力(自己教育力)があり、その力が発揮されるためには発達に見合った環境(物的環境・人的環境)」が必要である」というものです。
大人がすべきことは、何かを直接子どもに教え込むことではありません。
子どもの発達がどのような形ですすんでいくかを知り、子どもを観察し、環境を整えることです。
先生はほとんど教えず、困ったときには大人がお手本を示すことで”1人でできるように”手伝います。
モンテッソーリ教育では、子どもたちは「おしごと」と呼ばれるなんらかの作業を自ら選んでもくもくとこなします。
大人から指示されなくても、子どもは自分自身を教育するために必要なおしごとを自分で選ぶことができて、ちょうどよいおしごとに出会うと深く集中できます。
おしごとを通じて「言語」「秩序」「運動」「感覚」「数」「文化」の各分野について自然に集中して学ぶチャンスの到来は6歳までに集中していると、モンテッソーリ教育では考えられています。
シュタイナー教育(ドイツ)1919年発生
シュタイナー教育は、ドイツの哲学者・神秘思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した「芸術教育」としての教育思想および実践であるヴァルドルフ教育を、日本で紹介する際に名付けられた呼称のひとつです。
シュタイナー教育では、子どもたちは「感性」「想像力」「創造力」などを重視したカリキュラムが組まれており、
教育という営みは、子供が「自由な自己決定」を行うことができる「人間」となるための「出産補助」であるという意味で、「一つの芸術」であると考えられています。
その思想と実践は、シュタイナーが創設した、人間が自らの叡智で人間であることを見出すという神秘的学説・人智学(アントロポゾフィー)によって支えられています。
シュタイナー教育では、カリキュラムや授業内容も公的なものとは異なっており、独特の芸術教育などが知られています。
また、独自のシステムで養成された教師により行われ、教員の法的立場は国や修了した養成組織によりそれぞれ異なっています。
シュタイナー教育は自由教育の象徴的存在とも捉えられており、日本では知識偏重の受験教育に対する代替として支持を集めています。
また、シュタイナー教育では、一定期間ごとに同じクラスで学ぶことが重要視されます。
レッジョ・エミリア教育(イタリア)1945年発生
レッジョ・エミリア教育は、1945年に第二次世界大戦後のイタリアの都市レッジョ・エミリアで発祥された教育方法であり、子どもが主体的に活動し、それぞれの個性を引き出すことを大切にした教育方法です。
レッジョ・エミリア教育は、子どもたちが自ら考えて行動する力や自ら学習する力を高めることを目的としています。
レッジョ・エミリア教育の特徴は、プロジェクト型の教育を取り入れ、アート保育やドキュメンテーションなど、子どもたちの主体性を大切にした活動を展開していることです。
また、レッジョ・エミリア教育では、子どもそれぞれの個性を引き出す方法として「社会性」「時間」「子どもの権利」3つの教育理念を唱えています。
- 社会性:子どもの社会性を育むために、4名~5名のチームを作り、意見交換の中で活動を展開していく。
- 時間:時間割やタイムスケジュールなどは設けず、長期的なテーマにチャレンジし、深堀していく。
- 子どもの権利:子どもが主体的な活動を行うことができるよう、否定的にならず、子どもの権利を尊重する.
レッジョ・エミリア教育では、子どもたちが自由に表現することが重視されます。
また、子どもたちが興味を持ったことを中心に学ぶことができるようなカリキュラムが組まれています。
Googleも推奨している?
最近では、Googleが自社の社員向けの幼稚園にレッジョ・エミリア教育が採用したことで注目されています。
Google社の幼稚園では、レッジョ・エミリア教育を取り入れたカリキュラムを展開しており、子どもたちが自ら考えて行動する力や自ら学習する力を高めることを目的としています。
幼稚園の他にも、Google社の社員が利用できる預かり保育にも、レッジョ・エミリア教育が取り入れられているそうです。
レッジョ・エミリア教育の今後は?
Google社の取り組みの他にも、多くの企業団体がレッジョ・エミリア教育を活かしたプロジェクトを行っています。
- 「100の言葉」プロジェクト
- 「自分たちの街をつくろう」プロジェクト
- 「自然とともに生きる」プロジェクト
- 「音楽とともに生きる」プロジェクト
- 「食べ物とともに生きる」プロジェクト
- 「遊びとともに生きる」プロジェクト
- 「アートとともに生きる」プロジェクト
ドルトンプラン教育(アメリカ)1919年
ドルトンプラン教育は、1919年にアメリカ合衆国ニューヨーク市で始まった教育法です。
ドルトンプラン教育では、「自主性」や「協働性」「創造性」などを重視したカリキュラムが組まれています。
また、ドルトンプランでは、生徒たちは週ごとに目標を設定し、その目標を達成するための計画を立てます。
ドルトンプラン教育は、生徒一人一人のやりたいことを軸に学習プランを作り、生徒の自主性を伸ばしつつ、社会性や協調性をバランスよく学べる教育法です。
ドルトンプラン教育の特徴は、自由と協働の原理から成り立っています。
自由の原理では、子どもたちが自分の好きな分野の学習を自由に学べる機会を持つべきであるということであり、ドルトンプラン教育は、目の前のことにじっくりと向き合う姿勢や持続する集中力などを育成していきます。
協働の原理では、さまざまな年齢、個性、能力の子どもと交流する機会を設けることで、違った価値観の人ともスマートに交流できる人材を育成する原理です。
また、ドルトンプラン教育には、「ハウス」「アサインメント」「ラボラトリー」の3つの柱が存在しています。
- ハウスは、一般的な学校でいうホームルームであり、年齢やクラスの違う人たちが一緒に行うことが特徴です。
- アサインメントは、生徒と教師との間で交わされる約束(契約)であり、それぞれの生徒に合わせた授業の方針や課題、レポートなどをまとめたものです。
- ラボラトリーは、専門分野をさらに深めて学習していくために、担任だけでなく専門分野の教師にサポートしてもらいながらカリキュラムを進めていく場所です。
ドルトンプラン教育を導入している学校は、日本国内では数少ないですが、
例えば、東京にある「ドルトン東京学園」や「ダルトン・トウキョウ・ガクエン」があります。
サドベリー教育(アメリカ)1968年
サドベリー教育は、1968年にアメリカのボストン郊外で始まった教育方法を採用する学校のことです。
この教育方法は、生徒がひとりの人間として自立して自由に、また社会に生きる市民として豊かに生きるために、「自分を育て、社会を学ぶ」必要があると考えています。
そのため、市民教育と人格形成を柱とし、権利と責任を通じて、生徒が自分で自分を育てる学校です。
サドベリースクールでは決まった時間割がなく、生徒1人1人によって過ごし方が違います。
授業のない学校なので、生徒達はスタッフ・メンバーと呼ばれる大人が生徒と共にディスカッションし、学校の運営を担います。
スタッフ・メンバーは生徒達が採用し、学校のルールも生徒自身が主体的に決めることが可能であり、
学年やクラスも設けられていないため、年代の垣根を超えて生徒同士が共に遊んだり学んだりします。
卒業生の「人生に対する満足度調査」の結果は必見です。
フレネ(フレーベル)教育(フランス)1920年
フレネ教育とは、フランスの教師であったセレスタン・フレネが自身の勤める公立学校で始めた教育であり、現在では「現代学校運動」と呼ばれ発展を続け、スペイン、ドイツ、ブラジルなど世界38か国に広がっている教育法です。
子どもたちの生活や興味から出発した自由な表現による学習を重視しており、「自由作文」「学校印刷所」「学校間通信」などの実践が行われるのが特徴です。
学習は個別化されており自分で計画を立て協働しながら学習を進めるという方法を取っており、また学年ごとにクラスが分けられていることはなく、子どもたちが異年齢集団の中で助け合ったり学び合うことを学びます。
フレネ教育の特徴として、以下のものがあげられます。
- 自由作文(学校印刷所)
- 学校間通信
- アトリエ活動
- 個別化された学習
- 共同での学習
- 学級協同組合
フレネ教育は、モンテッソーリ教育など日本でも広まっているオルタナティブ教育に大きな影響を与えたとされる教育法です。
イエナプラン教育(ドイツ)1924年
イエナプラン教育は、ドイツのイエナ大学の教育学教授だったペーター・ペーターセンが1924年に同大学の実験校で創始した学校教育です。
イエナプラン教育は、ドイツで始まりオランダで広がった、一人ひとりを尊重しながら自律と共生を学ぶオープンモデルの教育です。
子どもたちを異年齢のグループにしてクラスを編制したことに大きな特徴があります。
また、学級は異年齢の子どもたちによって構成され、グループリーダーと呼ばれる生徒が指導することで、自己主導的な学びを促します。
イエナプラン教育はドイツやオランダで広まり、日本でも多くの支持者がいます。
日本にもイエナプラン教育協会があり、日本でも実践されています。
イエナプラン教育では、国語・算数・理科・社会などの科目による時間割はありません。
その代わりに、 会話・遊び・仕事 (学習)・催し という4つの活動を繰り返しながら学校生活を送ります。
このような教育は、子どもたちが自己肯定感を高め、自分の考えを持つ力や、他者と協力する力を身につけることができます。
このように、世界の先進的な教育では、子どもの特性や能力を最大化させるための環境づくりが、日本のそれとは全く違っていることが共通しています。
これらの教育法を参考に、日本の教育システムも進化させていけたら良いと考えます。
幸せな秀才児が増えることを願っています。
シェアして頂けたら幸いです
それではまた