日本には、2008年から10年間に虐待が原因で死亡した子供が869人もいます。
年間約86人、1週間に1人の子供が虐待が原因で死亡しています。
この数字は厚生労働省が発表しているものですが、実際にはもっと多くの子供が虐待に苦しんでいるとされています。
そして、この数字は年々増えている事が問題なのです。
今回は、日本でも他人事では済まされない児童虐待と虐待が子供の脳に与える悪影響についてご紹介します。
参考文献:親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる (NHK出版新書) 著者 友田明美
目次
児童虐待の定義
- 身体的虐待 → 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れされる等
- 性的虐待 → 子供への性的行為、性的行為を見せる、ポルノの被写体にする等
- ネグレクト → 閉じ込める、食事を与えない、不潔にする、車内に放置する、病気の治療をさせない等
- 心理的虐待 → 言葉の暴力、無視、兄弟間での差別的扱い、DV(攻撃、見せる)等
チャイルド・マルトリートメント
一般的に虐待というと上記のような悲惨な状況を想像すると思いますが、近年では、上記の児童虐待の他にも、子供にとって不適切な養育や不適切な関わりをチャイルド・マルトリートメント(child maltreatment)と定義し新たな児童虐待の形として注意喚起されているのです。
日本語では「子供の心と身体の健全な成長・発達を阻む養育」と定義されているこのチャイルド・マルトリートメントですが、
具体的には、私達大人が昔から当たり前のように行ってきた
- 体 罰
- 暴 言
- 脅 し
なども新しい虐待であるマルトリートメントの一種だとされていますので、マルトリートメントを一切受けずに養育されている子供は多くはないとされています。
現在、子育てを考える上で、このマルトリートメントを軽く見てはいけないと様々な専門家が警鐘を鳴らしているのですが、
その理由は、虐待やマルトリートメントが子供に与える悪影響の大きさが問題になっているからなのです。
マルトリートメントで変形する子供の脳
子供の脳は10歳位までに大人と同じ1400gに成長する過程で脳の大部分の能力が決まるとされています。
モンテッソーリ教育などに代表される多くの幼児英才教育では、この10歳までに多くの体験をさせる事により脳に良質な刺激を与え脳の能力を向上させる事を推奨しています。
脳に良い影響を与えれば脳の能力が向上しますが、
反対に脳に虐待やマルトリートメントのような悪影響を与えると、脳の能力は低下し十分に成長しきらなくなるとの研究結果が発表されているのです。
更に詳しい研究では、この悪影響による脳の能力低下は、英才教育などによる脳の能力向上効果を上回る場合が多くなる事が解っているのです。
これは、子育てをする親にとっては無視できない問題だと思います。
ストレスを感じるかどうかで脳の最大能力値が決まる
虐待などでストレスを受けた子供の脳は、萎縮や肥大により正常に発達できません。
私達は、親(大人)の接し方により、子供の脳の最大能力値に影響を与える現実を重く受け止めないといけないのです。
あなたの何気ない言動行動により、目の前の子供の能力が決まってしまうのです。
受ける虐待別の脳への影響は以下のとおりです。
暴力的虐待でキレやすくなる子供
体罰などの暴力的虐待を受けた子供の脳は、前頭前野が萎縮します。
感情などを司る海馬や扁桃体をコントロールしている前頭前野の容量が小さいと、欲求や衝動を抑える事が出来なくなり、キレやすくなります。
ショック体験で記憶力が低下する子供
人は嫌な出来事を思い出すと苦痛を感じるため、この苦痛を回避するために記憶を司る視覚野の容量を小さくして記憶力を低下させる。
暴力、DV、性的マルトリートメントなどのショックを受けた子供の記憶力は低下し、勉強や仕事で苦労するようになります。
暴言を聴いて情緒不安定になる子供
子供の尊厳を踏みにじるような暴言や生命を脅かすような耐え難い音を聞いている子供は、聴覚野が肥大し過ぎて、会話の取捨選択が出来なくなります。
会話の優先順位を判断できなくなり、周囲の会話の全てを真に受けてしまい他人を信じる事が出来なくなり心の問題で苦労するようになります。
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このように、悪影響で機能低下した脳が本来持っている能力を100%発揮する事はとても難しくなるので、この虐待やマルトリートメントを行わないようにする事が、我が子の能力を伸ばすための子育てにはとても重要なのです。
虐待の世代間連鎖
激動の社会において、この虐待やマルトリートメントは世界的にも増えているとされていますが、
この背景には、虐待が幼少期に親から受けた子育ての影響により世代間連鎖している事が問題とされています。
虐待された人が親になり子供に虐待する割合
- 日常的に虐待する割合は、全体の3分の1
- 精神的なストレスを感じた時だけ虐待する割合、全体の3分の1
- 虐待しない割合は、全体の3分の1
子供への虐待(マルトリートメント)は病気の症状です
- 子供に対する暴言は、あなたがかつて親(大人)から言われた暴言を再現している『言語的フラッシュバック』の症状です
- 子供を蔑み自分の下に置こうとするのは、あなたが親(大人)から受けた屈辱を再現している『認知的フラッシュバック』の症状です
- 子供への体罰は、あなたの周りにいた親(大人)が行っていた暴力を再現している『行動的フラッシュバック』の症状です
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あなたの間違った子育ては、全て過去にあなたの周りの大人が行った間違った子育ての再現(フラッシュバック)が原因かもしれません。
自分の親から受けた間違った子育てで苦しみ、その世代間連鎖により、我が子に間違った子育てを行い苦しんでいる子育て世代の親はとても多いのです。
虐待の世代間連鎖を断ち切る
私は子供に嫌われるダメ親でした。
面倒くさい事を妻に押し付けるために、仕事を理由に毎晩子供が寝た頃に帰宅したり、
思い通りにならないと子供と妻を叱りつける最低な父親でした。
子供を強くするためには、スパルタ式で鍛えないといけない!と本気で考え、
抱っこをせがむ娘を無理やり歩かせたり、かけっこで負けた娘を責め、特訓だ!と筋トレさせたり…
やってはいけない最悪の子育てをしている最低なダメ親でした。
今なら理解できますが、この私の間違った子育ては、全て幼少期に周りの大人が行っていた子育ての再現だったのです。
多くの間違った子育ては、虐待の世代間連鎖により起こる不幸な現象です。
この子育ての負の世代間連鎖を断ち切るためには、我が子に同じ間違いをさせないために、
親(大人)が正しい子育てのやり方を学ぶしかないと考えています。
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